新しく子猫を迎えたら…

 初めて家に来た子猫は環境の変化や、親や兄弟・姉妹と離れることで不安を感じたり、体調を崩したりすることがあります。新しいお家での生活に慣れていけるように温かく接し、体調を崩さない為にも適切な飼育管理をしましょう。

ご飯について

 急速な成長を遂げる子猫期は体重あたりで必要なカロリー量が、成猫の2-3倍となり、充分な食事を与える必要があります。また、成長に合わせて食事の増量が必要です。
 しかし1度に食べられる量が少なく、空腹による低血糖も起こりやすいので、1日3回以上に分けてご飯を与えるなど、少量頻回で食事を与えましょう。

ご飯について

具合が悪いとき

 家に迎え生活環境が変わると、体調を崩すことも多々あります。特に胃腸炎や呼吸器感染症を発症することが多く、下痢、嘔吐、食欲不振、咳、くしゃみ、涙、鼻水などの症状を呈します。
 半日以上ごはんを食べないときや嘔吐や下痢が続く場合には、低血糖・脱水を起こす可能性があり、重症化すると命に関わることもあります。
ぐったりしている、震えている、けいれん発作を起こしている場合には低血糖の可能性があるので、歯茎にガムシロップなどを塗り込み、すぐに病院へご連絡ください。
 小さなからだでは嘔吐や下痢で重症化することがあるので症状のある場合は早めに受診しましょう。

健康診断

 子猫を迎えて1週間程度経過し、新しい環境に慣れた頃に動物病院を受診することをお勧めします。まずは、身体検査や糞便検査などを行います。また、食事内容や量が適正かどうかや、今後の予防や不妊手術のスケジュールなどをアドバイスさせていただきます。
 ワクチン証明書や生年月日、予防歴が記載されている書類をお持ちください。また、来院時は必ずケージにいれてお越しください。ハードキャリーや、上が開くタイプのものがおすすめです。

健康診断

予防

 ワクチンや予防薬で予防することができる病気の中には、感染力が強く重症化し、最悪の場合死に至る病気もあります。子猫期からしっかりと予防を行うことが大切です。

混合ワクチン

 子猫の混合ワクチンは、生後6〜8週齢で最初の接種を行います。2〜4週間ごとに追加接種を繰り返し、生後16週を超えるように最後の接種をします。その後は3年以下の間隔では接種しないよう推奨されているため、3年ごともしくは抗体価の不足が確認された場合に接種を行います。

糸状虫症(フィラリア症)の予防

 成猫と同様、4月になったら糸状虫症の予防が必要です。生後6週齢から使用できるお薬がありますのでご相談ください。

寄生虫予防

 特に消化管の寄生虫感染は子猫でよくみられます。子猫を迎えたら必ず糞便検査や駆虫を行いましょう。
また、特に保護猫においてノミの寄生もよくみられます。ノミアレルギー性皮膚炎や、瓜実条虫の媒介、貧血の原因となるため、適切に駆除・予防薬を使用しましょう。

皮膚糸状菌

 免疫の弱い子猫のうちは、皮膚糸状菌の感染もよくみられます。ヒトや他の動物にうつる人獣共通感染症です。ヒトでは痒みのあるリング状の赤い皮疹をつくりますが、猫では耳や目、口まわりに脱毛、ふけ、痒みなどがみられます。子猫の脱毛や痒みをみとめたら動物病院を受診してください。

社会化

 生後6か月齢まで(特に生後2~9週齢)は社会化期と呼ばれる時期で、子猫が周囲の環境・刺激からたくさんのことを吸収し、社会性を身につけていく時期です。この期間にたくさんの音を聞いたり、色々な物の匂いを嗅いだりとさまざまな経験をすることで、人間社会での暮らしにより適応した猫ちゃんとして成長することができます。
 また、足先や耳、顔、お腹など、人に触られることに慣れることで普段のコミュニケーションや、異常の早期発見、病院での検査時のストレス軽減にもつながります。この時期にブラッシングや爪切りなどにも無理せず少しずつ慣れさせていくとよいでしょう。長毛の猫ちゃんは特に日々のブラッシングが必要となるので、この頃から習慣づけることをおすすめします。

社会化

環境

 基本的に猫に散歩は必要ありません。慣れていない外の世界に恐怖を感じかえってストレスとなったり、パニックを起こして脱走してしまうこともあります。感染症やノミダニ、誤食や交通事故などの危険性もあります。運動不足の解消にはキャットタワーを設置したり、室内で遊んであげたりしましょう。
 キャットタワーは、遊びやストレス解消となるだけではなく、部屋を見渡せる高いところを好む習性がある猫ちゃんにとって安心できる場所づくりにもなります。そのほかにもひとりになれるスペースを用意しましょう。
 爪とぎもお手入れの他、ストレス解消にもつながります。
 ねこじゃらしのおもちゃの紐などを誤飲して腸閉塞の原因となることもあるため、遊ぶ際には目を離さないようにしましょう。

トイレ

 猫ちゃんはおしっこを我慢することで泌尿器系の病気になりやすいため、トイレの数は飼育頭数+1個、サイズは体長の1.5倍の広めのトイレが理想的です。粒の小さい猫砂を好む猫ちゃんが多いですが、個体によって好みがあるのでさまざまなタイプのものを試してみてください。
 病気の早期発見のため、トイレの回数、血尿がないか、飲水量などを意識してください。猫ちゃんがトイレを行ったり来たりしているときは尿道閉塞の可能性がありますので、すぐに動物病院にご連絡ください。

トイレ

避妊・去勢

 望まぬ妊娠を防ぐだけでなく将来の病気を減らすことができます。性別や体格差によって適したタイミングは異なりますので一度ご相談ください。