消化器科では、食道から結腸までの消化管や、消化に関わる臓器である膵臓、胆嚢、肝臓に由来する病気を対象にします。消化器に疾患がある場合、主に嘔吐、下痢、食欲不振、体重減少がみられます。同じ症状でも原因は多岐にわたるため、話すことのできない動物にとっては適切な検査が必要です。血液検査だけではわからないことも多く、消化器科では特にレントゲンや超音波などの画像診断が重要です。
救急医療
こんな時はご相談ください
- 食欲がない
- 急性の嘔吐
- 血便
- 異物を食べてしまった
- おやつをのどに詰まらせた
- 繰り返す嘔吐
- 繰り返す下痢
- 痩せてきた
消化器科でみることの多い病気
- 食道炎、胃炎、腸炎、大腸炎
- 巨大食道症
- 異物閉塞
- 感染症（ウイルス、細菌、寄生虫）
- 感染症（ウイルス、細菌、寄生虫）
- 胆嚢炎、肝炎、胆石、胆泥
- 胆管閉塞
- 高分化型消化器型リンパ腫（猫）
- 蛋白漏出性腸症（犬）
- 炎症性腸疾患（IBD）（犬）
- 胆嚢粘液嚢腫（犬）
- 胆嚢破裂（犬）
- 胃拡張胃捻転症候群（犬）
- 腫瘍（胃腺癌、GIST、リンパ腫）
- 消化管好酸球性硬化性繊維増殖症（GESF）（猫）
検査内容
触診
異物や大きな腫瘍が触知できることがあります。また腹部の圧痛の程度を評価します。
レントゲン検査
腹腔内の主要臓器を確認し、胃や小腸のガス貯留の程度や異物や腫瘍の有無を判断します。食道に異物が詰まった場合は、胸部レントゲンで確認することが可能です。
超音波検査
レントゲン検査よりも各臓器の詳細な情報を得ることができます。リアルタイムで画像を確認することで、消化管の動きも観察できます。毛刈りを行うことで診断の精度が向上し、正確な情報を得ることができます。
糞便検査
寄生虫の感染や腸内細菌叢の乱れ、消化の程度を検出します。新鮮な便が望ましいため、院内で採取しますが、持参された糞便も浮遊検査やPCR検査で利用することがあります。
血液検査
一定以上の症状を伴う場合に実施します。特に、高齢である場合、基礎疾患がある場合、または症状が重篤である場合、腎臓や肝臓の機能、ホルモンなどの問題が消化器症状を引き起こしている可能性がある場合に確認します。消化器症状による脱水や電解質の乱れの程度も把握することができます。
内視鏡検査
消化管内の病変を視覚的に確認し、生検用の鉗子を使って病変を採取し、病理診断することが可能です。超音波検査で異常が見つからない場合でも、内視鏡検査によって腫瘍や疾患の特定に役立つ場合があります。
CT検査
超音波検査やレントゲン検査で異常がみとめられた場合、CTにて精査を行う場合があります。通常全身麻酔下で、造影剤を使用して撮影を行います。
症例紹介
胆嚢破裂
12歳 パグ 去勢雄
急性の頻回嘔吐を主訴に来院。
血液検査にて黄疸、肝数値の上昇を呈し、超音波検査にて胆嚢破裂と診断。
緊急手術を実施し、症状良化、3日で退院。
食道内異物
3歳 チワワ 去勢雄
おやつにリンゴを与えていたら急にむせて苦しそうになったとの主訴で来院。
レントゲン検査にて食道内に異物の閉塞をみとめ、緊急的に麻酔下にて内視鏡で摘出。
覚醒後、症状は消失し、退院。
高分化型消化器型リンパ腫
15歳 雑種猫 避妊雌
週に2回以上吐くようになり、痩せてきたとの主訴で来院。
血液検査や超音波検査にて大きな異常はみとめられず、内視鏡検査を実施したところ消化器型リンパ腫と診断。
投薬を開始し、症状のコントロールと体重の増加が得られた。
胃拡張胃捻転症候群（症例紹介ページあり）
11歳 シェパード 避妊雌
吐きたそうだが吐けないという主訴で来院。
レントゲン検査にて胃拡張胃捻転症候群と診断し、緊急的に胃捻転整復術および胃固定術を実施。
術後3日で退院。
蛋白漏出性腸症
9歳 ヨークシャーテリア 去勢雄
慢性的な下痢と削痩を主訴に来院。
超音波検査にて腹水貯留、消化管のゼブラサイン、血液検査にて低アルブミン血症をみとめ、蛋白漏出性腸症と診断。
投薬と食事療法を開始し、現在は食事療法のみで安定。
